動画編集者のためのAI活用術|無音カット・テロップ・切り抜きの自動化実例

動画編集者のためのAI活用術:無音カット・テロップ・切り抜きの自動化実例 動画制作

この記事ではAI時代の動画編集者が知っておくべき生成AIの活用法について解説していこうと思う。

僕は仕事もAI中心に選んでいるし、日常でもAIをフル活用していたりってことでこのブログを運営しているわけだけど、元々は動画編集を専門にしていた。

動画編集を仕事としてやっていた時期もあるし、大学では頼まれてもいないのに活動のダイジェスト動画(30分)を作って部内公開していた。今は自分の発信のために動画を作りまくっている。

そんな僕が最近感じているのは、生成AIには動画編集市場を壊す勢いがあるということ。

実際に使うかどうかは置いておいて、できることやその限界は全動画編集者が知っておく必要があると思っている。

ということでこの記事では動画編集の中でどんなことがAIでできるようになっているのかを解説する。動画編集を生業としている人、動画編集をこれから始めようと思っている人、生成AIの最先端について知りたいと思っている人などの参考になれば幸い。

[雑談]動画編集者は消えない

よく「〇〇職はなくなる」という発信がある。僕はこれ系の発信はインプ稼ぎの誇張表現だと思っているんだけど、それは置いておいて、動画編集者という仕事は無くなるのかについて持論を述べたい。

結論、動画編集者は無くならない。理由はAIのアウトプットが「人が欲しがるもの」の領域には達していないから。

動画編集に求められることは動画素材を見やすく、わかりやすく、面白くすること。これらを踏まえると、AIは視聴ストレスを減らすような編集はできても、面白くすることはできない。大なり小なり「人を熱狂させる」ことが必要なんだけどAIはそれができない。

だからこそ、クライアントやその先の視聴者を「熱狂させる」という部分が動画編集者の仕事である以上は動画編集者は消えない。

ただ、ジュニアの仕事はどんどんなくなっていくだろうなという所感。よくクラウドソーシングサイトにあった「カットお願い」「テロップお願い」程度の依頼はどんどん減っていくと思うし、単に言われた通りに最低限のものしか作れない動画編集者は消えていくと思う。

動画編集×AI活用の全体像

動画編集にAIを活用する上で、ある程度の全体像を解説していこうと思う。

動画の種類

動画編集と一言で言っても、そのジャンルは複数ある。

  • 解説系動画:僕がやっているYouTubeの動画みたいな感じ。何かのテーマについて話してフルテロップがつくようなもの。
  • Vlog系動画:日常風景とかBGMとか画の綺麗さを重視するもの
  • モーショングラフィック動画:図形とか文字を動かしてつくるもの。商品PRとかサービス紹介動画とかに多い
  • PV動画:アーティストのMVとか、イベントの告知とか

ざっと考えるとこんなところ。

AI活用を考えるときのキーワード

AI活用を考える時にキーワードになってくるのが「客観性」「規則性」の2つ。

要は数値的・規則的に指示が出せる領域に関してはAIをガンガン入れることができる。理由は簡単でコードベースでの処理ができるから。

例えば「無音の部分をカットする」っていう指示は「○dB以下の音の領域を削除する」という指示にできるし、「ボールが横にバウンドするモーション」は物理の数式に変換できる。また、文字起こしというタスクも文字起こしツールによって作成されたテキストの意味が通るかどうか、誤字脱字がないかは客観的に判別できる。

こういったように、客観的に・規則的に判断ができるものにはAIを組み入れることができる。

ジャンル別・AIとの相性マップ
ジャンル別・AIとの相性マップ

感性が命のジャンルとAIの相性は最悪

これを踏まえると、最初に列挙したコンテンツのうち、Vlog系とPVはマジでAIとの相性が悪い。先に出た「人の熱狂を生む」ことに主眼が置かれているし、作り方に規則性があるわけでもないから。

素材の整理をしたりとか、ある程度規則的に素材を並べたりとかは比較的できるかもだけど、結構人力の部分が大きくなる領域。

この領域でガッツリとAIを使っている人がいたら是非とも教えてほしい。

動画編集におけるAIの活用方法

ここからは実際に僕がやっている動画編集の中での活用方法について解説していく。

先にも出ている通り、基本的には動画編集の中で解説系動画とモーショングラフィック動画に関する解説が多めなことに留意して読んでいってほしい。

無音部分のカット

解説動画、すなわち演者が口頭で説明する素材がベースの動画を編集する時には、余計な部分をカットする編集をするんだけど、これはめちゃくちゃ高い精度でできる。

実際、30分くらいの尺の動画を無音カットするには早くても1~2時間かかる。あと、人力でやると不正確というかカットのタイミングが早すぎたり間が開きすぎたり慣れるまで品質のブレがすごい。

それが、AIの処理を入れると基本的な処理なら5分くらいでやってくれるし、自分の手での調整を含めても30分くらいでできてしまう。あと、品質もめっちゃ安定する。やりすぎないし不足もない。

30分尺の無音カット 作業時間の比較
30分尺の無音カット 作業時間の比較

ざっくりとした仕組みとしては、Claude Code(Codexでも動く)から自作のSkillを呼び出してやっている。流れはこんな感じ。

  1. Premiereからタイムラインを「Final Cut Pro XML」で書き出す
  2. Claude Codeに「このXMLをA1の無音基準でカットして」と頼む
  3. カット済みのXMLが出てくるので、Premiereに読み込み直す

中でやっていることはシンプルで、A1(メインの声のトラック)の音声を読んで、-45dB以下が0.2秒以上続く部分を「無音」と判定。前後に2フレームずつ余白を残してカットする。そのカット位置を、映像も含めた全トラックに同じタイミングで入れる。

ポイントは2つ。1つ目はA1の声だけで判定すること。BGMが入ったトラックで判定すると無音が見つからなくなる。2つ目は全トラックを同期してカットすること。これをやらないと映像と音がズレる。画面録画みたいにフレームレートが揺れる素材も、自動で固定fpsに変換してからカットしてくれるので音ズレも起きない。

先に書いた「客観性」「規則性」の話でいうと、まさに「○dB以下を削除する」を地でいく処理。AIがやっているのは指示を受けて処理を回すところで、判定自体は数値でやっている。だからこそ精度がブレない。

無音カット前/後のタイムライン
無音カット前/後のタイムライン
無音判定のしくみ(-45dB・0.2秒)
無音判定のしくみ(-45dB・0.2秒)

Premiere ProにもAIを使ったカット編集機能はついているんだけど、正直精度悪すぎて使い物にならない。基本的にカットしすぎる傾向があって修正が大変。

(なんで高いサブスク料金取っておいて専門領域で他社に負けてんねん。)

切り抜きショートの作成

僕の運営しているYouTubeチャンネルに上がっているショート動画。これは長尺動画の切り抜きを投稿して少しでもリーチの幅を広げたいという意図がある。

これはほぼ全自動でやってもらっている。長尺動画のURLと元動画を渡して、その動画のどこを切り取るのか、どのように編集するのか、テロップをどう入れるのかなど全部任せている。

これもClaude Codeから自作のSkillを呼び出してやっている。長尺1本から30〜50秒の縦型ショートが6本前後と、タイトル・説明文・タグをまとめた投稿メモが出てくる。

AIで作成した切り抜きショート動画の例

流れはこんな感じ。

  1. プログラム:YouTubeの自動字幕を取ってきて、単語ごとの時刻つきの文字起こしを作る
  2. AI:全文を読んで切り抜く場面を選び、字幕の誤変換の修正、上部のタイトル、冒頭のつかみ、強調テロップまでを「設計図」として書く
  3. プログラム:設計図どおりにffmpegで縦型に組み立てて、ズーム・字幕・効果音・1.1倍速・音量調整まで一括で書き出す
  4. AI:書き出した1本ごとに確認用の画像を見て、文字が切れていたら設計図を直して書き出し直す
切り抜きショートの処理フロー
切り抜きショートの処理フロー

場面選びの基準も文書にしてAIに読ませている。「意外性」「損したくない」「お金・数字」「共感できる悩み」「比較」「強い感情」みたいな、最初の1〜2秒で「え?」となる型を優先。逆に「さっきの〜」みたいに前の文脈がないと意味が通らない場面や、チャンネル登録のお願いみたいな締めは使わない。あと、その場面で一番強い一言を冒頭に持ってくるのもルールにしている。

ここでも「客観性」「規則性」の話が効いていて、ズーム・効果音・速度・音量みたいな数値で決められる部分は全部プログラム側。AIに任せているのは「どこが面白いか」「どの言葉を強調するか」という判断の部分。ちなみにフルテロップと違ってWhisperは使っておらず、YouTubeの自動字幕を土台にAIが誤変換を直している。

一番ハマったのは、ズームしたときに元動画に焼き込まれている文字やスライドの端が切れる問題。座標の思い込みで切れることが多かったので、今は書き出したら必ずAI自身に画像で確認させるようにしている。逆にAIは音を聞けないので、音量や音割れは数値でしかチェックできていない。

ただ、オリジナリティとかバズを出すにはもう少し探究が必要。そこら辺は自分で学習してみて欲しい。

フルテロップ作業

動画編集をやっていて最も人権が剥奪されている感覚になるのがこのフルテロップ。

これをWhisperでの文字起こしと生成AIを活用した清書によってめちゃくちゃ快適に行なっている。正直ほとんど手直しする必要がないレベルで文字起こししてくれる。

この「真価」とか結構AIミスるんだけどね
この「真価」とか結構AIミスるんだけどね

この仕組みもSkillで、3段階に分かれている。

  1. プログラム:Whisperで音声を文字起こし(Macならmlx-whisperで高速に回る)
  2. AI:Claudeが全文を読んで、意味の区切りで1行1テロップに改行する
  3. プログラム:改行したテキストと文字起こしの時刻を突き合わせて、SRTファイルを作る
フルテロップの処理フロー
フルテロップの処理フロー

キモは2の改行をAIに任せているところ。テロップの改行って「思って/いるので」みたいに変なところで切ると一気に読みにくくなるんだけど、品詞のルールで機械的にやるとまさにこれが量産される(実際やらかした)。なので、改行ルールを文書にまとめてAIに読ませ、全文の文脈を見て判断させている。ルールは「〜ているを分断しない」「助詞から行を始めない」「句読点は使わない」とか、過去に自分が手直しした内容を蒸留したもの。

テロップ改行のNG例/OK例
テロップ改行のNG例/OK例

さらに出来上がったSRTを自動でチェックして、25字を超える行や助詞始まりの行があれば直してから出してくれる。チャンネルでよく出る固有名詞の誤変換も辞書に貯めていけるので、使えば使うほど手直しが減っていく。

あとはSRTをPremiereに読み込むだけ。カット済みのXMLも渡せば、カット後のタイムラインに時刻を合わせてくれる。

正直フルテロップはYouTube発信的には必要ないという意見も少なくない。

ただ、音が聞けない状況であったとしても何を説明しているのかがわかるようにフルテロップをつけたいなとは思っていて、それがやりやすくなったのは非常にいい時代。

ちなみにPremiere Proにもこの自動文字起こしの機能はあるんだけどマジでgm(なんで高いサブスk…以下略)。

キーテロップ作業

フルテロップとは別に、話の要点だけを大きく出す「キーテロップ」も入れている。全文ではなく、結論・手順・数字・章の切り替わりみたいな「聞き逃すと話がわからなくなる部分」だけを抜き出すやつ。

これが人力だと地味にしんどい。動画を最後まで見て、どこが要点かを判断して、文言を短くまとめて、タイミングを合わせて……と、編集の中でもかなり頭を使う作業。

これもSkillでやっていて、流れはこう。

  1. カット済みのXMLを渡すと、カット後のタイムライン通りに音声を組み直して文字起こし
  2. AIが全文を読んで要点を選び、表示する文言とタイミングを決める
  3. PremiereでそのままいじれるTextグラフィックとしてXMLに追加する

要点選びは単なるキーワード抽出ではなく、動画全体の流れを理解したうえで「結論 → 手順・条件 → 数字 → 章見出し」の優先度で選ばせている。10分の動画なら10〜20個くらい。発話にない数字や断定を足さない、言い直しは1つにまとめる、みたいなルールも決めている。

出てくるテロップは画像ではなく普通のテキストなので、気に入らなければPremiere上で文字やフォントを直接直せる。AIが8割作って、最後の2割を人間が詰める。このくらいの分担がちょうどいい。

素材作成(画像・動画)

提供されている動画素材だけだと動画編集が完結しないこともある。例えば、仕事の悩みの話をする時に頭を抱えたビジネスマンの素材が欲しかったり。

頭を抱えて悩むビジネスマンの素材写真

こんな時に今までは素材サイトを利用していい素材を探す旅を始めていたんだけど、AI時代はそんなものは必要ない。さっきの画像もChatGPTに言えば作ってくれる。

AIで生成したビジネスマンの画像

また、Google系のサービスとかで映像素材も生成することができるし、他のAIツールで図解の資料なんかもかなり精度良く作ってくれる。

素材を配布していただけのサイトとかは運営厳しくなっていくんだろうなと痛感。

素材作成(音源)

動画で結構重要な要素としてBGMがある。これも無料の素材配布サービスがあったりして、自分はDOVA-SYNDROMEとかMixkitとか使っていた。

でもこれらの欠点は音がクソダサいところなんだ。中にはめちゃくちゃ上手いクリエイター(しゃろうさんとか)がいていい曲もあるんだけど、めちゃめちゃほかのYouTuberと被る。

そんな時に音楽生成AIサービスが光る。僕はSuno AIを使っている。

使い方は簡単で、作りたい音楽の雰囲気を言葉で伝えるだけ。音楽の知識があればプロンプトを凝ることもできるけど、作りたい動画の雰囲気をそのまま伝えるだけで結構いい音楽が完成する。

Suno AIでBGMを作成する画面

僕が使っているBGMとかは基本的にSuno AIで作ったものなんだけど、全然違和感がなくてむしろ変な素材サイトから引っ張ってくるよりもいい音源を使うことができる。

モーショングラフィック映像の作成

図形や文字を動かすモーショングラフィックは、AIとの相性がめちゃくちゃいい領域。最初に書いた「ボールが横にバウンドするモーション」は物理の数式に変換できる、という話がまさにこれで、動きを数値とコードで書けるからAIが得意な土俵なんだよね。

実際、Claudeに「こういう図解を、こういう順番で動かして」と言葉で伝えるだけで、それっぽいモーションが普通に出てくる。正直、雑魚いAe制作者はマジでいらないんじゃないかってくらいできる。

最近だと、Anthropicが「Claude Motion」という機能を出してきた。チャットで頼むだけで、テキスト・グラフ・図形・画像を動かした短いアニメーションを作ってくれるもの。ポイントは動画生成AIではなくコードで動かしている点で、だから一部の数字や文言だけを差し替えても他の部分は崩れない。仕上がりはMP4で書き出せるので、そのままPremiereに素材として持っていける。

ただ、実写っぽい映像や人物は作れないし、2026年10月時点ではTeam・Enterpriseプラン向けのベータ版なので個人プランでは使えない。個人で試すなら、普通にClaudeにアニメーションのコードを書いてもらうところから始めるのがいいと思う。

こうなってくると、編集者として問われるのは「動きを作れるか」じゃなくなる。AIが出したものの細かい修正をAeで詰められるか、どう指示すれば狙った動きになるか、そしてそもそもどういう構成なら面白いのか。この3つが論点になってくると思っている。

まとめ ~「面白い」動画を作りたい~

ここまで、動画編集の中でAIがどこまで使えるのかを、僕の実例ベースで紹介してきた。

AI vs 反AIとか、「〇〇職はなくなる」とか、AIについては色々言われている。でも僕のポジションはシンプルで、自分の能力の幅を広げてくれるものは積極的に取り入れていこうよ、というもの。無音カットやフルテロップみたいな規則性のある作業はAIに任せて、空いた時間と頭を「どうしたら面白くなるか」に使う。そのためのAIだと思っている。

ただ忘れちゃいけないのは、AIを使っていようがいまいが、最終的に求められるのは「面白い動画」だということ。AIで効率化した結果、どこかで見たような無難な動画が量産されるだけなら意味がない。視聴者を熱狂させる部分は、やっぱり人間の感性の仕事だ。

だから僕はこれからも自分の感性を磨き続けたいし、そのこだわりに使う時間を確保するためにも、AIの活用をどんどん進めていきたい。

この記事が、AIとの付き合い方を考える動画編集者のヒントになれば嬉しい。

東京在住の25歳。
後先は考えないタイプで、高校受験、東大受験(現役・浪人)ともに併願なしで挑んでました。
東京大学文科1類に運良く合格。法学部に進みましたが、一番面白かったのはICT系・芸術の授業でした。
興味が続かずに弁護士にはならず、ITベンチャー企業で働いています。
動画編集、プログラミング、最近はAIなど色々やってます。

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